神戸・三宮、天天ビルの3階。階段を上がった先にあるのは、繁華街の喧騒から切り離された、カウンターバー。店名は「Food BarENDS」。
ライブや個展、セミナー。Food BarENDSでは、さまざまな表現活動が行われている。
店を切り盛りするマスター・田村さんが掲げるのは、「誰もがやりたい事をやって生きていける世界を創りたい」「どんな夢を抱いても否定されない世の中にしたい」という想い。
一サラリーマンが抱くには大きすぎる野望から始まった、この場所の物語。

「三宮が、もっとおしゃれだった頃」への想い
田村さんは30代前半まで、三宮でバーを営んでいました。その後、約10年間サラリーマンとして働く日々。
その頃、ふと思ったのです。
「三宮って、もっと昔はおしゃれだったよな」
ファッションショーが頻繁に行われ、センター街やライブハウスで様々なイベントが開かれていた時代。あの空気を、もう一度取り戻せないだろうか。
「もっと頻繁に、いろんな人が発表できる場所があればいいのに」
そんな話を、あちこちでするようになりました。すると、共感してくれる人がちらほらと現れ始めます。この想いが、今の活動につながっています。
「ほんなら自分でやったろ!」
アーティストたちと話す中で、田村さんは一つの課題に気づきました。
発表する場所が、あまりにも高額だということ。
「できるだけ安く発表できる場所を作れないか」
当初は知り合いの店などを頼り、交渉を重ねていました。しかし、なかなか賛同を得られず、場所によっては詐欺師扱いを受けることもありました。
そして、田村さんは決意します。
「ほんなら自分でやったろ!!」
こうして2024年、「Food BarENDS」が誕生しました。
店名に込めたのは、「誰かの1日の最後になればいいな」という想い。仕事帰りに立ち寄って、ライブを聴いて、お酒を飲んで。アートを眺めて、語り合って、笑い合って。誰かの1日が、この場所で終わる──そんな場所でありたいという、田村さんの願いが込められています。

ライブ、個展、セミナー──あらゆる表現を受け入れる場所

Food BarENDSでは、音楽の弾き語りライブから、セミナー、個展まで、様々なイベントが開催されています。
田村さん自身も、完全に趣味で歴史の講座を開いたりしています。
「いろんな人にやってほしくて。でも、こっちから発信しても、なかなか来てくれない。だったら、まず自分がやってみようと思ったんです」
スター・ウォーズが好きすぎて語りたい人、仮面ライダーへの熱い想いを伝えたい人──どんなテーマでもいい。
「別にタメになる話じゃなくてもいいんです。めちゃくちゃこだわっている人の話って、聞いていて面白いじゃないですか」
アーティストの個展も、田村さんから声をかけたり、募集をかけたりしながら、現在は数ヶ月先まで埋まっているとのこと。月替わりで展示が行われています。
演者、アーティストに寄り添って
「どんなイベントでも、出来る限り協力させていただきます。やりたくて出来なかったこと、よろしければご相談くださいませ」
田村さんの言葉には、嘘がありません。
こぢんまりとした空間だからこそ、演者と客の距離が近い。表現を肴に、お酒と時間をゆっくり味わえるバーです。
演者やアーティストに寄り添い、一緒にイベントを作り上げていく姿勢。
Food BarENDSは、表現者のための“本拠地”として機能しています。

屋上で手ぶらBBQ
4階の屋上では、手ぶらでBBQができます(要予約、4〜8名)。
「食材を集めるのに時間がかかるので、予約さえいただければ、いつでも大丈夫です」
ただし、夏は暑すぎて、冬は寒すぎるとのこと。
「おすすめは春と秋ですね」と田村さんは笑います。

実食レポート──金曜日限定の欧風カレーと、こだわりのお酒

この日いただいたのは、金曜日限定の欧風カレーと、カクテル。
欧風カレーは、熟成を重ねた本格的な味わい。飴色に煮詰めた玉ねぎとお肉というシンプルな材料ながら、深いコクが感じられます。
カクテルは、注文を受けてから目の前でシェイク。氷の音やグラスに注がれる所作も含めて、一杯の体験として楽しめます。
お酒の飲み比べができる店
Food BarENDSのもう一つの特徴が、値段の違う様々なお酒の飲み比べができること。
「値段的に差があるリキュールを飲み比べてもらうと、本当に圧倒的に違うんですよ」
普段、居酒屋さんで使われているようなリキュールと、バー以外ではあまり使われないようなリキュール。その違いを体験できるのも、この店ならではです。

KOBE CREATORS JAM──民間から神戸を盛り上げる
田村さんは、クリエイター主体のプロジェクト「KOBE CREATORS JAM」の発起人でもあります。
「神戸を民間から一緒に盛り上げませんか?」
そんな呼びかけをSNSで行ったところ、想いに共感した仲間たちが集まり、プロジェクトがスタートしました。
イベントの収益の一部は神戸市の子どもたちへ寄付。未来の神戸を担う子どもたちに、表現や創作を「身近な選択肢」として感じてもらうことも、大切な目的のひとつです。
田村さんが目指しているのは、「サラリーマン以外の仕事を選んじゃダメだよ」という価値観ではなく、
「こういうことをして生きていきたい」
と、胸を張って言える街。
「音楽で食べていくのは厳しいかもしれない。でも、ショービジネスとしてお金が入る仕組みができれば、プロじゃなくても、CDを出さなくても、やっていける方法はあると思うんです」
「イラストにしても、展示や販売ができる場所がもっと増えればいい。個展って展示料金がすごく高いじゃないですか。そうじゃなくて、もっと手軽にできる場所があれば」
KOBE CREATORS JAMでは、第二弾としてアマチュアのお笑いショーなども検討中。半年に一度ほどのペースで大きなイベントを開催し、将来的にはライブバーやライブハウスを巡るサーキットイベントへと広げていく構想も描いています。
新しい「神戸スタイル」を生み出したい
田村さんは、神戸生まれ神戸育ち。大学時代は京都で過ごし、その後、再び神戸に戻って三宮のあたりでバーを営んできました。
「フランスに昔、『Dingo bar』っていう店があったんです。今もあるかもしれないんですけど」
アーティストや作家、小説家といった人たちが集まり、自然と意見交換が生まれていたカフェやバー。 田村さんは、そんな場所のあり方に惹かれていました。
「ここが、そういう場所になればいいなと思っています」
音楽やイラストなど、ジャンルの異なる表現が同じ空間に混ざり合う。 そこから、新しい「神戸スタイル」が生まれていけばいい。
田村さんは、そう考えています。
店内の壁には、実際にこの場所を拠点に活動する作家たちの作品が並びます。

アナログイラストレーター・ 純麗-sumire-氏 の作品や、仮想集団 神妖衆 による写真集

KOBE CREATORS JAMのプレイベントにも参加されていた、 HySy(ハイシー)飛鳥 さんが手がけたコースター
過去に開催されたKOBE CREATORS JAMのプレイベントの様子は、別記事で詳しく紹介しています。 (▶︎ プレイベントのレポートはこちら )
地域に根ざした「やりたい」が叶う場所
「三宮に出てくるなら、ちょっといい格好して出ていかな」
田村さんの親世代、70歳くらいの人たちは、そんな感覚を持っていたといいます。
「そういうところを復活させて、他の都市の人が三宮に来たら『おしゃれだ』って思える街に戻したい」
ライブを聴きに、アートを観に、美味しいお酒を飲みに。あるいは、あなた自身が何かを発表する場として。
三宮・天天ビルの3階、階段を上がった先に、あなたの「やりたい」を受け入れてくれる場所があります。

Food BarENDS(フード バーエンズ)
- 📍 兵庫県神戸市中央区北長狭通2丁目10-1 天天ビル3F
- 🚃 神戸三宮駅より約徒歩2分
- 🗓 定休日:不定休
- 📱 Instagram: @foodbarends
- 💡 ライブ・個展・BBQのレンタル、出演相談はDMで受付中
※営業時間や定休日は変更になる場合があります。訪問前にInstagramでご確認ください。
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